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星野知子の
新 鎌倉その日その日
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虹の日
にゃん、にゃん、にゃん、で2月22日は「ネコの日」。「いちごの日」は1月5日。語呂合わせの記念日だ。1年は365日。記念日はその何倍もの数だという。「肉の日」や「俳句の日」はわかりやすいが、中には無理矢理こじつけた日もあってクスッと笑える。 「虹の日」は、7月16日だそうだ。七(なな)一(い)六(ろ)、で七色(なないろ)。なるほど。おぼえやすい。 梅雨明けの青い空に虹を見つけるとうれしい。虹は待っていても出てくれない。いつも突然に現れる。電車の窓からぼんやり景色を眺めているとき、庭で水まきしていてシャワーの水滴の中にできることもある。子どものころはシャボン玉が虹色に輝くのが不思議だった。風に舞うまん丸の泡のひとつひとつの虹に見とれていた。 虹ができるのは太陽と水の粒の共同作業。科学的には光の屈折と反射がつくる「大気光学現象」というものだそうだが、むずかしいことはさておき、私にとって虹は神秘的でマジックみたいで、何かいいことがありそう、そういう特別の存在だ。 鎌倉でも虹が出るたび足を止めている。忘れられないのは光明寺で見た虹だ。...
7月20日読了時間: 5分


雨もまた良し
天気予報の傘マークが気になる季節だ。湿度が上がって雨が続くようになると、ジメジメムシムシ、そろそろ梅雨入り。晴れの日が貴重となる。 近所でてるてる坊主を見つけた。何気なく見上げたマンションの2階、出窓の内側にぶら下がっていた。今どき珍しい。なつかしくて立ち止まった。 あの窓は子ども部屋かな。明日はお出かけで晴れてほしいんだね。白いのっぺらぼうの人形にほのぼのとあたたかい思いがした。 最近はてるてる坊主に出会うことが少なくなった。少子化で子どもの数が減っているから? それとも天気予報の的中率がかなり高くなったせい? おまじないの人形の出番は減っているのかもしれない。 昭和の時代、天気予報ははずれるものと思っていた気がする。小学生のときは運動会や遠足の前の日に、家の軒先にてるてる坊主を吊り下げていた。天気予報が雨でも、願いを込めれば太陽を呼び出せそうだった。 そんなことを思い出しながら、てるてる坊主を作ってみた。白いハンカチにティッシュを丸めて詰め、首を紐(ひも)でくるっと巻いてできあがり。 窓辺に吊すと、ちょっと頭が垂れてしまう。昔もそうだった。で
6月20日読了時間: 5分


かたつむり
でんでんむしむし、かたつむり、と歌っても、かたつむりは虫ではありません。貝の仲間。 梅雨時に、濡れた葉っぱをひっくり返す。ツノがきゅっとちぢんでコロンとした殻に身を隠す。子どものころは親しい遊び友だちみたいな存在だった。 私の家の中にはたくさんのかたつむりがいる。小さな置物、お皿やハンカチ、アクセサリー、絵、本も。赤ちゃんを乗せるかたつむりの木馬まである。 かたつむりの形のものをコレクションしてから四十五年以上になる。数えたことはないが、二百くらいはあると思う。 最初のひとつはハワイのホテルで買った。海の貝殻とガラスでできた小さな飾り物。ひと目ぼれだった。それから、国内外を旅行するたび記念に買って増えていった。不思議なもので、みやげもの店に入ると「あ、ここにはいる」と気配を感じる。引き寄せられるように店内を進むと、奥のショーウィンドウのかたつむりと目が合って、「私を買ってね」と言われているような気がする。 ただ、なんでもいいというわけではない。マンガっぽくないもの。美しいもの。高価ではないもの、と決めている。 イタリアの色鮮やかなベネチアガラス、
2025年6月21日読了時間: 5分


雨傘
ムシムシ、ジメジメ、そろそろかなあという時期になると、スーパーやドラッグストアでは湿気対策グッズが山積みになる。梅雨入り間近。顆粒状の除湿剤や「水がたまったらおとりかえ」の容器タイプ、引き出し用のシートタイプ。様々な種類の商品は、東京の店よりずっと数が多い。みんな苦労しているのだ。 鎌倉は湿度が高いとは聞いていたが、これほどまでとは思っていなかった。海から入る潮風と、谷戸の湿気がこもりやすい地形のせいだろうか。引っ越してきたころ、梅雨の終わりに下駄箱を覗いて目を疑った。スニーカーにカビが生えている。大切なハイヒールも白いフワフワしたものが……。湿気に強い家作りをしてもらったが、それでも連日80パーセントを越える湿度には太刀打ちならず。その年以来、梅雨前に下駄箱やクロゼットを念入りに掃除して、湿気取りをあちこち大量に設置。準備万端整えて梅雨入りを待つことにしている。予報では、今年の梅雨入りは平年並みだが、梅雨明けは遅いという。湘南の住民の湿気との闘いは長くなりそうだ。 梅雨の日常は住んでいる人にしかわからないもの。紫陽花を見に訪れる人たちは、雨が降
2024年6月10日読了時間: 5分
*ここに掲載したエッセイは、月刊『かまくら春秋』に収録され刊行・発売されている作品です。無断使用・転載・複製を禁じます。


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